#11 電車の区分方法について(電気による区分編)

 おひさしぶりです。今回は、電車の区分方法について解説していきたいと思います。今回はあくまで電車です。蒸気機関車気動車や客車、貨車は除外します。

※この話題は2回に分けて公開します。今回は電気系統、次回は車両の設計面での区分となります。

 

⑴電車には大きく分けて3種類ある(電気系統編)

 まずは使用する電気による区別をしたいと思います。以下の通りです。

 ①直流型

 ②交流型

 ③交直流型

ざっくり開設すると、①は直流(+-の変化はない、乾電池など)で走る電車、②は交流(周期的に+-が入れ替わる、コンセント電源など)で走る電車、③はどちらも対応した電車、というものです。

 

・直流と交流の違い

 「列車数を増やしたいなら直流、逆なら交流」というのが基本的な考え方です。これの違いは、変電設備を電車と地上のどちらに置くかです。変電所を地上に置いたのが直流、電車に搭載したのが交流です。変電設備は高価ですので、できればあまり製造したくありません。なので、列車本数の多い都市部の電車は変電設備を地上に置き、複数の列車でシェアしています。そうすることで、電車の製造費用を抑えることができるのです。逆に、列車の本数が少ない田舎エリアでは、変電所をたくさん設置したところでシェアする列車がそれほどいません。お金の無駄です。なので、変電設備を電車に載せちゃいます。それが交流電車。

 基本的に、送電するのに有利なのは交流です。直流は送電ロスが大きいため、変電所がたくさん必要なのです。その地上に設置する変電所の数と、電車の数を比較し、地上の方が多ければ交流を、電車であれば直流を採用すればコストを低く抑えることができます。まとめると

 ・運行密度が低い地方では交流電化

 ・運行密度が高い都市部では直流電化

というわけです。

※ちなみに、直流電化区間と交流電化区間の一例は以下の通りです。

直流電化区間

・東京近郊

 ・JR(一部を除く、電車内の路線図に掲載されている区間のほとんど)

 ・関東大手私鉄のほとんど

・東海

京阪神エリア

・山陽エリア

・四国の電化区間

・JR仙石線

 

交流電化区間

・東北地方のほとんど(仙石線は直流)

・北海道の電化区間

・北陸

・九州

 

 

・余談 死電区間デッドセクション)とは?

 漢字を見てもらえばおおよその予想はつくと思いますが、デッドセクションとは「架線(架空電気線)に電気が流れていない区間」です。そんな区間があっていいと思ってるのか!と思ったそこのあなた、問題ありません。むしろ、ないと大変です(ちなみに、直流と交流を同時に流すと、重ね合わせの原理により電圧が不安定な直流が流れます)。先ほど、日本には直流電車と交流電車がいて、直流電化区間と交流電化区間が存在することは理解してもらえたと思います。察しが良い人は気づいたと思います。「境目はどうなっているんだ?」そうです。デッドセクションが設けられます。これは日本各地に存在しています。おもなデッドセクションは以下の通りです。

JR東北本線(黒磯~高久)※①

・JR常磐線(取手~藤代)※①

・JR水戸線(小山~小田林)※①

つくばエクスプレス(守谷~みらい平)※①

JR北陸本線敦賀~南今庄)※②

・JR山陽本線門司駅構内)※②

 

※①直流1500V to 交流20kV(50Hz)

※②直流1500V to 交流20kV(60Hz)

 

この中でも、黒磯駅付近のデッドセクションは2018年までは日本唯一の「地上切り替え方式」として残存していました。地上切り替え方式というのは、架線に流す電流を切り替える方式です。東北本線が電化された時代では、交直流型の電車が存在していなかったため、このような方式を採用したといわれています。実際に、黒磯駅までは直流電車と交流電車が肩を並べている姿を見ることができました。

 

 

・全く新しい電車、蓄電池式

 蓄電池で走る電車が存在します。関東で最も近くを走っているのはJR烏山線です。栃木県の宇都宮から、宝積寺でJR宇都宮線から分岐し、烏山を結ぶ路線です。もともとこの路線は非電化で、蓄電池電車が導入されるまではキハ40という気動車が走っていました。そこに、急速充電設備を折り返し駅などに設置し、蓄電池電車による運用が開始されました。2両編成です。詳しくはJR東日本のホームページをご覧ください。

www.jreast.co.jp

 

いかがでしたでしょうか。今回は割と長文になりましたが、電車は奥が深いという事を知っていただけたら幸いです。次回は列車の外観や内装から区分していきたいと思います。

 

 

〈追記〉

直流と交流を同時に流すと電圧が安定しない直流が流れると記述しましたが、これは正しい情報か不明です。回路が短絡しショートすると言う意見もあるため、絶対的な回答では無いことをご承知おきください。